『東本願寺御修復環境プロジェクト / 東本願寺と環境を考える市民プロジェクト』 真宗大谷派・東本願寺(京都)

<'07 ライフスタイル部門 市民が創る環境のまち元気大賞2007 奨励賞受賞>

【概要】

世界最大の木造建造物である「御影堂」の御修復工事において、瓦の再資源化、仮設素屋根への太陽光パネルや雨水タンクの導入など、環境配慮型の工事を推進。また、地域住民や環境NPO団体と協働して「東本願寺と環境を考える市民プロジェクト」を組織し、境内庭園やお堀を活用したイベントを開催するなど、地域社会における環境問題への取り組みを実施。

【受賞者コメント】

このたび受賞された活動は、どのような経緯から生まれたのか、お聞かせください。

真宗大谷派・東本願寺では、宗祖親鸞聖人の御真影を安置する「御影堂」の修復工事にともない、不再用となる瓦(約12万枚)の再資源化をはじめ、時代社会の 課題となっている環境問題に対して積極的な取り組みを行っています。この取り組みの背景には、修復工事の計画段階で、このたびの修復を単なる営繕事業としてではなく、環境問題をはじめとする時代の課題に向き合う事業として取り組みたいとの姿勢を宗派が表明したことがあります。この姿勢の願いとするところ は、御影堂に反映される先人の精神や技術に触れ、瓦や木材といった素材のルーツや当時の生活様式を知り、現代社会における私たちの生活を問い直しながら、 環境問題などの課題を学び、今の私たちに何ができるのかを考えていくことにあります。
また、「東本願寺と環境を考える市民プロジェクト」という地域住民や環境NPO団体と共同した活動も始まっております。この連携が生まれてきた経緯は、上記の取り組みと併せて、東本願寺における継続的・主体的な環境問題への取り組みの方途を検討するにあたって、既に環境問題に取り組んでいるいくつかの NPO、NGO団体などに、今後の歩むべき方向性や視野を相談する中から、大きな賛同を得て、密接な関わりを持ってきていただいていることによります。


eco japan cup 2007への応募動機をお聞かせください。

上記のような活動内容は、宗派の機関紙やホームページ上において随時紹介をしており、関係する住職(僧侶)やご門徒(信者)、また、近隣住民の方々を中心として、取り組み内容が徐々に認知されてまいりました。このたび、当派における環境問題への地道な活動状況を広く一般市民の方々に対しても知っていただき、 今後その取り組みの幅を持たせることができるのでは…と考え、応募させていただきました。

環境活動によって地域を活性化させるポイントは、どのようなところにあるとお考えでしょうか。

これまで、地域とお寺が一体となった町づくりという視座も踏まえ、環境、防災、自然などについて考える場を継続して開いてまいりました。持続的、開放的に取り組みを進めることが大切と考えます。

今後の活動は、どのように展開させていこうとお考えですか。

このたび、思いがけず「奨励賞」をいただきました。しかしその背景には、仏教や宗教への環境問題に対する「これから」への期待と、寺院が社会に存在する意義 とは何かという重い課題をあらためていただいたのだと、受け止めています。京都という可能性溢れる地で、現代社会から照らされる課題を自らが学び、何がで きるのかを真摯に考え、真向かっていくという姿勢を忘れず、取り組みを進めてまいります。