『上下流が連携した加古川129支流の水質浄化プロジェクト』 リバークリーン・エコ炭銀行

<'08 ライフスタイル部門 市民が創る環境のまち“元気大賞2008” 特別受賞>

【概要】

加古川周辺の水辺環境を美しくするための一環として、加古川上流域で繁茂が進み環境を乱している森林や竹林から間伐した材料を炭に転換し、それを河川や水路に埋設することで水質浄化に役立てる活動を展開。この活動を広げることで、加古川の上流と下流が連携した循環型の環境保全システム作りを目指している。現在は活動の輪も世代を超えて拡大。行政とも協力し合いながら、地域をあげて次世代に残していける町づくりに取り組んでいる。

【受賞者コメント】

このたびの『eco japan cup 2008』で受賞された活動は、どのような契機から生まれたのか、お聞かせください。

私たちの活動は、いまから10年前、加古川市尾上町養田という、約400世帯のまちの区画整理事業がきっかけになってはじまりました。
このまちの中心を流れる養田川は、加古川水系で最も河口近くに位置し、区画整理事業にともなって、付け替えられる予定になっていました。ところが、地元の 中学生が川の調査をしたところ、住宅や工場などに囲まれた市街地を縫うように流れながらも、たくさんの生き物が生息していることが判明します。それをきっ かけに、専門家や行政を巻き込んで、環境に配慮した川づくりを考えてきました。
やがて、この取り組みが、行政までも動かします。コンクリート張りの新河川については、川底を自然のままに残した工法に変更され、廃川となる旧河川については、その一部が公園やせせらぎとして再生・整備されることになりました。
「リバークリーン・エコ炭銀行」は、2003年3月に、この養田川を拠点にして、炭を使って河川環境の浄化に取り組む町内会の有志のグループとして出発しました。
森林や竹藪で間伐してきた材料を炭に転換し、それを河川に戻すことで、水質浄化に役立るというのが基本的な考え方です。この活動で大きな役割を果たすのが炭化装置です。山奥で炭を焼くのではなく、まちのなかでも作業ができるというのがポイントです。
身近なところで、それぞれの都合に応じて活動ができ、自分で焼くことができない人でも、間伐材や竹を運んで預ければ、その量に応じて炭が還元されます。
活動全体に関わらなくても、それぞれにできる関わり方で、河川の水質浄化や、森林・里山の再生に役立つことができる、その気軽さが最大の特徴です。


『eco japan cup 2008』への応募動機をお聞かせください。

今年、兵庫県で、環境大臣会合(環境サミット)が開催されましたが、そのときに、多くの環境関係団体やNPOの方と交流する機会を持つことができました。その交流の輪をさらに広げたいと考え、 募集させていただくことにしました。

環境活動によって地域を活性化させるポイントは、どのようなところにあるとお考えでしょうか。

私たちが暮らす加古川最下流のまち・養田では、地域が受け入れて、地元の小学生、中学生に川のなかに入ってもらう体験学習をしています。
炭づくりの活動をはじめたきっかけも、地元の中学生がトライやるウィークの一環で、生物調査に取り組んだ際に、たくさんの生物が生息することがわかり、この水辺の環境を子どもたちに引き継ぎたいと思ったからでした。
そして、小学校の中庭には、環境学習に役立ててもらおうと、地域の人たちが協力してほたるが飛ぶビオトープもつくりました。
環境について学ぶということも大切ですが、ほたるをきっかけにして、地域の人たちが小学校に足を運ぶようになったことで、人と人のきずなが深まり、地域で子どもを育てようという意識も生まれました。
私たち大人が活動できる時間は限られています。
地域のなかで、大人も子どもも一緒になって、地域の環境をよくする活動に取り組むことで、世代がかわっても、いつまでも、いまの環境が引き継がれるまちづくりが継続されると考えています。


このたびの受賞を契機として、今後の活動をどのように展開させていきたいとお考えでしょうか。
加古川流域だけにとどまらず、全国の仲間とともに、河川の上流と下流が連携した循環型の地域づくり活動の輪を広げていきたいと考えています。