『計画停電に対応した輪番操業“川口モデル”の取組み』 川口鋳物工業協同組合

<’11 特別企画「エコ復興アワード」 エコ復興 絆賞>

【概要】

住宅地が多い都市部では、企業が夜間操業を行わない協定を地元と結ぶことがある。2011年夏の電力需給対策として、川口鋳物工業協同組合(埼玉県川口市)加盟の大口電力契約をしている夜間操業禁止協定のある鋳造企業は、夜間・土日操業の制限を受ける中グループとなって輪番操業を行い電力削減に努めた。1社では難しい電力制限目標を、グループ化することで可能にするモデルとして注目される。前年比−(マイナス)約30%となる電力削減を実現した。

【受賞コメント】

受賞された感想をお聞かせください。

最初に事務局から連絡をいただいたときには驚きましたし、少し戸惑いましたが、審査員の方々も素晴らしく、大変立派な賞なので、お受けしようと思いました。

受賞された「川口モデル」を実施するにあたって、いちばん大変だったことをお聞かせください。

組合に加盟している各社の意向を聞きながら、輪番の組み合わせを作っていくのが一番大変でした。東京電力から使用できる電力量が示されたのですが、月曜から金曜まで5日操業すると目標がクリアできないので、各社、4勤1休とか3勤2休にして組み合わせることを検討しました。

最初の段階で非常にハードルが高いと思ったので、3勤2休で計画しました。土日はこの計画には含まれませんので、3勤2休でやっても、各社が土日にやれば週に5日間操業ができるのですが、この3勤2休を各社に当てはめていくのが、難しかったですね。例えば、お客さんが木・金に休みの会社は、自分たちも木・金は休みたいとかいうことがあります。また都市部なので、土日できる企業もあるのですが、土曜日しかできないところもあります。各社の意向を汲みながら、非常に苦労して組み合わせを作りました。

「川口モデル」の実施で、かなり効果が出たそうですね。

目標は15%削減だったのですが、30%を達成できました。
理由は2つあると思うのですが、まず、非常に固く組み合わせを作ったんですね。絶対に削減幅が15%以上になるように、少しでも出っ張らないように組み合わせました。それから、もうひとつの理由は、輪番操業実施の前に計画停電があって、各社が、この輪番が始まる前から電力を下げる努力をしていたんですね。おそらくそれが、7~8%の削減になっていると思います。それが輪番と重なって、とてもいい結果が出たのではないかと思っています。

この夏、また電力不足になったら、輪番操業をされますか?

電力が足りないのであれば対応しなければならないですね。昨年は3勤2休で対応したのですが、今度は4勤1休とか7勤2休とか少し違う組み合わせでもやっていけるかなと思っています。

環境問題に対する考え方や、また何か取り組みがあれば、お聞かせください。

鋳造業は3Kと言われる仕事で、ほこりとか騒音とかで社内環境が良くないと言われています。そこで、粉じんに関しては川口市に粉じん測定の補助金を出してもらったりして測定に取り組んでいます。また都市部にあるので、各社、公害対策などを行ったりしています。鋳造業は電力が絶対に必要な仕事ですが、今回の電力制限で電力の使い方を努力工夫して、どこの会社でも1割近くは使用量を下げたと思います。

また組合では、廃砂(はいずな)のリユースに努めています。砂で砂型を作って鉄を流し込むんですが、そのときに砂が産業廃棄物として出ます。昔は全部捨てていたんですが、組合が窓口となって回収し、まとめて路盤材として再活用するようにしています。もちろん、単独でやっている会社もあります。

鋳物は、実はそもそもリサイクル産業なんです。鋳物の原材料は、銑鉄とスクラップで、銑鉄は高炉から出てくるバージンの鉄ですが、それにスティールスクラップを混ぜます。鋳物の不良品などが出ても、溶かせばまた使えます。素材的にリサイクル産業なんです。

(2012年2月13日インタビュー)