『災害廃棄物のリサイクルによる地域経済の復興・活性化、そして創生に向けた提言 ~災害廃棄物選別所-リサイクル屋台村の創設~』 エコマテリアル・フォーラム/中島謙一・有沢俊一・山末英嗣・原田幸明

<'11 ポリシー部門 環境ニューディール政策提言 サステナビリティ優秀提言>

【概要】

東北大震災・大津波で発生した大量の瓦礫等罹災物に含まれる有価金属の効果的な分別や地元活力源への還元は出来ていない。そこで、地域周辺の解体・分別業者や先端的な分離・選別技術を結集した共同プラットフォーム型(いわば「リサイクルの屋台村」)の広域中間処理センターとして「選別所」の設置を提言する。リサイクル促進、そしてリサイクルの阻害要因である重金属や放射性物質の取り扱いについても効率化が期待される。

【受賞コメント】

提言されている問題に、関心を持たれたきっかけをお聞かせください。

3月の震災を受けて、今まで自分たちが通常の研究として行ってきたことで、何か復旧やそしてこれからの新しい創生に役立つことができないかと思ったのが、この提言にかかわる活動を始めたきっかけです。

まず震災の1か月後、4月に第1弾の提言ということで、「廃ブラウン管テレビの鉛ガラスカレットの放射線遮蔽への利用」という提言を行いました。テレビのブラウン管に使用されている鉛をリサイクルして、福島原発における放射性物質の遮蔽材を作れないだろうか、というものです。これは、特に最近重点をおいて研究していた「都市鉱山の有効利用」、つまりリサイクルということなんですが、その知識を、震災の復興等に役立てるという視点からのものです。

そしてその後8月に、「災害廃棄物から金属資源の再生活用を」という、震災や津波等によってできた瓦礫等を、単に処理するだけではなく、有用な資源をリサイクルし災害廃棄物処理を少しでも軽減させることを提言しました。これを、eco japan cupに応募したわけです。また、この2つの提言の前後にも、緊急シンポジウムのような形で議論を交わすような場所を設けてきました。

「エコマテリアル・フォーラム」について、お聞かせください。

エコマテリアル・フォーラムは、簡単に言うと環境負荷を低減するような材料技術の開発、もしくは、サステナブルなマテリアル開発とマネージメント、というようなことをキーワードとして研究を進めている「学術団体」です。学術と言っても、公的な研究機関の研究者だけでなく、企業の方々も参加しているので100%研究者の集団ではないのですが、材料開発の視点から環境負荷を避けていこう、サステナブルな社会を作っていこうというのをキーワードにしている団体です。環境に適合した材料開発や、システムの開発が基本ですが、何かのタイミングで必要だなと感じたときに、提言等も行っています。

この提言を応募されたきっかけや動機などを、お聞かせください。

8月に提言を行った後、HPで発信したり、シンポジウムなどでも発信したりしてきたのですが、何かもっと広く別のメディアやチャンネルを使って発信したいと考えていました。そんなときに、フォーラムの会長が紹介してくれたのがeco japan cupでした。

受賞されたご感想をお聞かせください。

素直に、光栄に思いました。科学者、研究者からの提言なので、これが社会の方向と果たして合っているのか合っていないのか、少し不安を持ちながらやっている面もあります。受賞できたということは、あながち角度がずれてはいないということで、安心にもつながりました。

今後、活動をどのように発展させていきたいとお考えですか?

提言した処理システム等に関して、それぞれが活動している機関のなかで働きかけていきたいですし、もちろんフォーラムとしても、来年度の事業の中でできることを模索していきたいなと思います。フォーラムのメンバーの中には、仙台など東北地方の方々も少なからずいらっしゃるので、そういう方々の活動とより密接な関係を築きながら、やっていけたらと思っています。

(2012年2月13日インタビュー)