『コルボッコロ』 糸曽 賢志

<'07 カルチャー部門 エコアート 準グランプリ受賞>

【概要】

「自然との共存」をテーマにおき、文化と科学を優先するがゆえに自然が失われた街を舞台に、一人の少女の心の葛藤を描いたオリジナルアニメーション作品。影絵アニメやCGアニメを盛り込むなど、独自の表現を追及した。

【受賞者コメント】

『コルボッコロ』の制作に取り組まれたきっかけをお聞かせください。

そもそも『コルボッコロ』という企画を実現しようとしたきっかけは8年前に遡ります。
大学時代に、宮崎駿監督のもとでアニメの演出を学ぶ機会を得て、その時に自分の考えを盛り込んだ作品を作りたいな、と思いました。ですが、なかなか自分のような若造にオリジナル作品を作らせてもらえる機会がなく、それなら自分で作ろう、と思い立ち、これまでにいろいろなプロジェクトに参加して学んだアニメーション技術を応用して一人で作りはじめました。


eco japan cup 2007への応募動機をお聞かせください。

改めて動機と言えるほど大層なものは特にありませんでしたが、『コルボッコロ』は「自然との共存」をテーマとして、エコ問題への自分なりの思いや考えを描いた作品だったので、eco japan cup 2007の趣旨と合うかなと思い応募しました。
また、賞をいただければ、それをきっかけに自分の作品を見てもらう機会が増えるし、エコに関心のある方々から、今後の作品制作の際に出資が集めることができるかも、という下心もあった気はします。


「eco」に対するクリエイティブ力の可能性は、どのようなところにあるとお考えでしょうか。

エコロジーを本当に求めたいなら、世の中からガスや電気などのエネルギーや、石油などの資源を消費するのを一切止めればいいわけです。車も乗らないし、建物も建造しない。それが一番です。
でも、そんなことは無理ですから、一人ひとりが少しずつできる努力をしようということが、エコロジーに繋がるのだと思います。
その努力を後押しできるように、わかりにくく難しいことをエンターテインメントに採り入れることで、老若男女を問わず、誰にでもわかりやすく伝えられるようにしていきたいと思います。
また、エコに関連した商品やメッセージをアニメとコラボレーションさせ、世の中に発信することで、こどもから大人まで、幅広い人々がエコに関心を持つとともに、商品を流通させてくれると考えています。


今後、創作活動をどのように発展させていきたいとお考えでしょうか。

「eco」 という問題に関して、アニメーションの中で地に足を着けた人々やそれを取り巻く環境をきちんと描くことで、鑑賞した人それぞれが自分なりの形で問題を持ち 帰り、考えることができると思います。ですから、そうしたテーマ性を持った作品を作り続けることで、徐々にでも「eco」という感性を浸透させていきたいと考えています。
今回受賞させていただいた作品は、これから長編作品として制作するつもりです。その際には、このeco japan cup 2007出身であることを勲章に、胸を張って世の中に作品を公開し、さまざまな人に想いを届けられればと思っています。