『水処理膜事業』 東洋紡績株式会社 

<'08 ビジネス部門 環境ビジネスアワード ハード部門受賞>

【概要】

当社は、従来から主流であった蒸発法より消費エネルギーが少ない海水淡水化技術を目指し、1972年から逆浸透膜の研究開発に取り組みました。1979年には世界で初めて一段法海水淡水化逆浸透膜モジュールの商業生産を開始しました。
当社の海水淡水化用モジュールは独自の中空糸型逆浸透膜を用いています。微生物汚染に強く、塩素(水の殺菌処理に必要)に対しても優れた耐久性を持つため、高品質の水を高い稼働率、低コストで生産することができます。また、膜洗浄のための薬品使用量が少量なこと、膜素材、セルローストリアセテートの主原料(セルロース)は天然の物質であるなど、環境負荷の低減に貢献しています。
当モジュールは国内最大規模の海水淡水化施設や、中東地域をはじめ世界各国の多くの海水淡水化プラントに採用され高い評価を得ています。特に、高温・高塩濃度の海域を有する中東湾岸諸国での当社のシェアは50%以上を占めています。

【受賞者コメント】

環境ビジネスアワードを受賞された感想をお聞かせください。

このたびは「環境ビジネスアワード」を授与いただき、ありがとうございます。
当社は、海水淡水化の省エネルギー化を目指し、1972年から逆浸透膜の研究開発に取り組み、1979年には、世界で初めて一段法海水淡水化逆浸透膜モジュールの商業生産を開始しました。
現在、国内最大規模の海水淡水化施設や、中東地域をはじめ世界各国の多くの海水淡水化プラントに採用され、水不足の解消に貢献しています。
このたびの「環境ビジネスアワード」の受賞は、当社水処理膜事業の長年にわたる実績と高い技術が評価されたものと、非常に光栄に思っております。

受賞事業の今後の展開と抱負をお聞かせください。

当社の水処理膜事業、特に海水淡水化に関する事業は、一般に逆浸透膜法の適用が困難といわれていた中東地域で、広く実績を伸ばしています。これは、当社の中空糸型逆浸透膜「ホロセップR」の、塩素に対する優れた耐久性を持つという、他社にはない特長が活かされたものと思っています。このような強みを活かして、今後も中東地域を軸に事業を進めるとともに、世界各国で事業展開を予定しています。
さらに、海水淡水化用途のほか、水道用の浄水分野や排水の再利用分野への事業拡充と市場に適した水処理膜の開発を進め、「水」を通して、今後一層、環境負荷の低減に貢献できるよう努めます。
(水処理膜事業に関するウェブサイト:http://www.toyobo.co.jp/seihin/h2/mb/

御社の環境問題に関する取り組みを教えてください。

当社は、グループを挙げて地球環境への配慮が企業活動の基本であると認識し、製品の開発から設計、製造、販売、廃棄、回収に至るすべての段階において環境保全に取り組むことで社会的責任を果たしていきたいと考えています。
現在は、2006年度から2010年度までの中期環境計画を立て「グリーンプロダクツの開発・商品化」「グリーンファクトリーでの生産」「グリーン調達・購入の実施」「社会と良好なコミュニケーションの確保」「環境活動推進の仕掛けづくり」を5つの重点課題とし、当社グループ全体で目標達成を目指して活動しています。
(東洋紡績株式会社のCSR活動に関するウェブサイト:http://www.toyobo.co.jp/eco/