『環境教育のためのボードゲーム“エコポリー”』 小室 達哉/松本 俊之

<'08 カルチャー部門 エココミュニケーション 審査員応援賞受賞>

【概要】

世界中に普及しているボードゲームの『モノポリー』をベースとし、環境問題と経済活動のバランスについて考えさせることを目的としたボードゲーム。土地や財産などの経済的な側面ばかりでなく、CO2排出枠と排出量などの環境問題もバランスよく考えてゲームを進めなければならないため、ゲームを通して参加者に環境問題に関するさまざまな知識を習得させると同時に、CO2排出権取引の概念についても理解させながら、ゲーム参加者の「環境マインド」を育む。

【受賞者コメント】

このたびの『eco japan cup 2008』で受賞された作品について、制作に取り組む契機となった背景をお聞かせください

6年前から青山学院大学工学部経営システム工学科の卒業研究として取り組んでいるものがゲームとして大成したものです。前任の佐久間先生という方が環境に取り組んでおり、地球環境体系図を作っていました。私は教育が好きですのでその財産を発展させる意味で、知らず知らずのうちに環境のことをゲームで楽しく、また正しく知るためのこのゲーム作りに学生たちと取り組みました。6年間で5〜6人の学生が徐々に形にし、メインに開発に取り組んだ小室君と今回エコポリー5のバージョンが受賞しました。
環境というと、耳障りがいいので多くの学生が研究室には入ってきますが、実際の作業は地味で大変です。でもこのゲームに携わりやり遂げた学生の意識は本当に変わっていきます。さらに、このゲームはハリーポッターのようにいろいろな気づきがあるよう工夫されているので、一度でも遊んでもらえれば環境に対する意識の入り口には立てるようになっていると思います。


今後の「エココミュニケーション」の可能性は、どのようなところにあるとお考えでしょうか。

エコロジー自体、時代によって変わって来ると思いますが、そのとらえ方自体には哲学が必要です。それを研究した上で、エコロジカルをどう広めるか、どのような手段を開発するのが大学の仕事だと思っています。
今取り組んでいるもののひとつに、人口の増加から文明社会の崩壊までを200の項目500本の線で結んだ「環境曼荼羅」というものを作って、みんなでそれを更新して行きながら人間の行動と地球環境問題がどのようにかかわっているのがをの傾向学的にとらえるという活動をしています。具体的には相模原版、これは地方自治体版で、他に建築版もあります。その体系図を見るとエコロジカルな建物ができる・・といった具合です。
また、もう一方でゴミ分別ゲームを小学校や高校に出向いて教えるといった活動もしています。


このたびの受賞を契機として、今後の制作にあたって、どのように発展させていきたいとお考えでしょうか。

このゲームはモノポリーをベースにしているので中学3年生以上でしたら理解できる学生向けの教育ゲームです。それとは別に今4年生が卒業研究として「家庭版」を開発しています。
また、コンピュータ対戦型を発展させて今度はweb版を作って広くこのゲームを知ってもらったり、多言語版も今ある韓国語版、英語版の他に中国版、タイ語版と次々に開発し、世界中の人たちにグローバルに楽しんでもらいたいと思っています。商標を取っていますのでゲームメーカーとの共同開発なども視野に入れていますが、教育機関ですのであくまでも商売のためではなく広めることが大事だと思っています。