『ソロモンの指輪〜Remind Me』 服部 徹/若藤 美貴夫

<'08 カルチャー部門 エココミュニケーション グランプリ受賞>

【概要】

「ケータイする自然の森」をコンセプトに開発された、携帯向け生態系カードゲーム。GPSデータと連携して利用者の位置データの情報をつなぎ、利用者の身近に生息している植物・虫・野鳥などの環境情報から使用するカードを発行。利用者と双方向コミュニケーションを図りながら、ゲームクリアに向けた展開の中で、環境理解への行動に誘導する。ゲームの攻略を通して、楽しく遊びながら自然環境への理解・配慮を高めていく仕掛けとしている。

【受賞者コメント】

受賞作品の制作に取り組んだきっかけをお聞かせください。

きっかけは3つあります。ひとつは、昨年エコミュージック部門グランプリのサリー・ケイさんの「たびんちゅう」という曲が素晴らしく、この曲に合うゲームを作りたいと思ったこと。もうひとつは、生物多様性の保全のテーマで毎年1000人以上のモニターにインターネットアンケートをしていたところ、「参加の機会を面白く提供する」ことが、「身の回りの保全活動への参加につながる」ということがわかりました。「身近な自然を守るのは私たち1人1人」と考えている人が85%にも上るのに、実際に行動に移すことが出来ている人は5%。そんな忙しい日本人のマインドと行動のギャップを埋めるためのコンテンツを、と思っていたところにゲームクリエーターの若藤さんと出会いました。これが3つめのきっかけです。子供たち、特に男の子に対して、「虫ゲーム」などはたくさん存在しますが、今回は若い女性でも毎日通勤時間帯に2分で参加できる「自然への気配りを高めながら、徐々に自然の保全の知識が得られ、モニタリングを実行するゲーム」の実現をコンセプトにしました。若い女性なら誰もが持っている携帯電話で作ってみようと思いました。若藤さんの力で、ユーザーの目で参加しやすいゲームが実現できたと思っています。

今後のエココミュニケーションの可能性についてお聞かせください。

知らないだけで知ればドンドン興味がわいてきて、次の興味につながる…そしてそれが入り口になって行動へとつながってくれればという思いがあります。これからのエコは、具体的な、行動が求められます。エコ・コミュニケーションは工夫次第で、まだまだ、市民の潜在能力は引き出すことができるはずだと思います。

今後の作品づくりについての展開をお聞かせください。

今回は、身近な自然の情報に限ってプロトタイプを起こしましたが、もっと世界や国内のデータを活用した作品に仕上げてゆけたらと思います。生物多様性だけではなく、石や地中の微生物まで、さまざまなカードや駆け引きのある複雑な本格ゲームへ発展させることが目標です。まずは、ゲームとしての実現化を果たし(出来れば「たびんちゅう」をテーマ曲に?!)、さらに市民が生物多様性の思いに対して行動を引き出していく段階を第2段第3段とシリーズ化していきたいと思います。