『マイクロ波パルスプラズマ技術を用いたVOCガス低減』 イマジニアリング株式会社

<'08 ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャーオープン GE特別審査員賞受賞>

【概要】

マイクロ波の電磁エネルギーを利用して、省エネルギーで容易に大気圧の非平衡プラズマを生成する技術の実用化に目処。非平衡プラズマを生成する際に、活性力が高いOHラジカルやオゾンを常温で空気中に大量発生させることで、人体に有害な揮発性有機化合物(VOC)や、排気ガス中の未燃炭化水素や臭いの元となるアルデヒド基の分解、大気中の有害病原菌・細菌等の死滅・削除を促進。大気環境の改善・修復を図ることを可能とした。装置は省エネルギーかつ小型化・低価格化で提供することができ、既設設備への設置も簡単。国が掲げるVOC排出量削減目標の約1/2を占める中小企業をはじめ、学校や一般家庭などへの活用も可能で、小規模排出源におけるVOC排出量削減への貢献が見込まれる。また小型機器から大型機器までの対応が可能であり、低環境負荷型の新技術として今後の発展性が期待される。

【受賞者コメント】

環境ビジネス・ベンチャーオープンを受賞された感想をお聞かせください。

率直に申しますと、受賞できるとは思っていなかったので驚いております。受賞理由を知りたいというのが本当の第一感想でした。
後日、この度のGE特別審査員賞授賞理由として、弊社が応募した環境技術・ビジネスモデルの「発想力」と「着眼点」が、GE殿の創始者であるエジソンの重視するポイントと合致する、この点を高く評価頂けたと伺いました。
そのことをお聞きして、技術やビジネスプランの評価のみならず、その根底にある弊社の企業理念をご理解頂き、共感頂けたことを大変嬉しく思った次第です。誠に有難うございました。


環境ビジネスという視点から、受賞事業の今後の可能性についてお聞かせください。

本技術は、まず人体に有害な揮発性有機化合物(VOC)の排出量削減により、大気環境の改善・修復を第一の目的としています。本技術は活性な化学種の強力な酸化力を利用するもので、まず接着、乾燥や医療現場・作業場で排出される含酸素系のホルムアルデヒドをほとんど(99%以上)無害化できます。また、印刷、塗装、乾燥時に排出されるトルエンやベンゼンなど芳香族系等のVOC処理も可能です。強力な酸化力を利用するため、炭化水素系の物質であれば、排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)やススの処理、また嫌な臭いの脱臭・消臭、更に、殺菌、滅菌にも適用が可能です。排気ダクト内に設置したり、集合配管内に設置することで小規模施設から大型施設における空調設備等にも利用できます。既存機器を組み合わせたシステム構成により、初期コストを安価に抑えることが可能です。更に、運転コストも安く、構造が簡単なことから信頼性、耐久性にも富んだ商品を提供できます。
2010年からスタートとするVOC排出削減の自主規制に対し、社会が必要としている技術を新しい発想とそれを具現化する技術力を駆使して商品化を実現します。本技術の大気圧プラズマは、世界的にもまだ研究開発途上にあり、現象も十分解明されていません。
一方では上記に述べた、環境、医療、エネルギーと様々な分野での適用が考えられており、事業展開の可能性は非常に広範にわたると考えております。


このたびの受賞を契機として、今後、受賞事業をどのように発展させていこうとお考えなのか、その展望をお聞かせください。

本技術開発は、応募時にもご紹介致しましたとおり、NEDO技術開発機構「有害化学物質リスク削減基盤技術研究開発」(H18〜H20年度)の一環として実施しているものです。自主規制がまもなく開始されるため、社会的に緊急を要するニーズの高い優先技術の一つとして、その開発に社会的責任と使命感に燃えて携わっています。まずは、本技術の実用化に向けて邁進し、VOC処理流量の少ないドラフトチャンバー市場から参入します。特殊な用途での実評価にて商品の性能充実度を高め、並行して、大流量処理を目指し技術開発を進め、参入市場の拡大を目指していきます。更に、既存設備への設置の容易性、安価性等の特徴を利用し、中小企業をはじめ、一般消費者等広範なユーザへの普及へと発展させていきたいと考えております。
また、処理流量に対応して、様々な業種(印刷、塗装、乾燥、接着など)への展開を検討していきたいと考えております。