『銀座を「緑の循環都市」に 銀座ゼロエミッション』 特定非営利活動法人 緑のごみ銀行

<'06 ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャーオープン 三井住友銀行/SMBC受賞>

【概要】

日本一有名な繁華街 銀座地区の商店街のゼロエミッションを、特定非営利活動法人 みどりのゴミ銀行と商店街協同で取り組む事業。銀座というブランドを使って社会への影響を図るという戦略性および、銀座以外の地域への拡大展開、さらには全世界にもアピールできる夢の広がりが評価を受けた。

【受賞者コメント】

まず「緑のごみ銀行」の活動内容について教えてください。

平成10年6月より始まった活動で、毎月、家庭の生ごみを町会の皆様から お預かりし、公有地で堆肥化し、利子として腐葉土や花の苗をお配りしています。
13年から、3か所のお寺で 落ち葉の腐葉土作りも始めました。
できた堆肥や腐葉土は、街路樹、公園、学校、他の団体、商店街、一般の希望者、イベント等に利用する他、生ごみや落ち葉の力を実際に見ていただくために自分たちで、区役所やメンバーの屋上や交差点に、生ごみ堆肥の花壇をつくりました。
JR御茶ノ水駅近くの橋の下でも、腐葉土作りを進めています。


家の近くのごみのリサイクルから、発展して銀座でごみのリサイクルをしていこう、という発想の原点は何だったのですか?

もともとは文京区から出る廃棄物をできるだけ減らそう、という所から出発しました。私たちの活動は、最初自分たちでできることは何かを考えて、できことはなんでもやってやろう、という意識で活動してきた訳です。できそうなことは、自分たちなりに精一杯やってきたつもりでした。けれど、世の中の意識を変えるほどのことはできなかった。
気がついてみたら、もう今年で9年目なんですよ。そこで初心に帰って、自分たちはどういう風にしたかったのか、何を求めていたのかを改めて考えてみたところ、ごみがリサイクルされたり、みどりが豊かになったり、といった、かたちになった手ごたえが欲しかったんだと、思い出した、というか気がついたんです。その為には、何ができるかではなく、どうしたいか、その目的に到達するにはどうしたら良いのか、という目標点から逆算するような方向から攻めていかなければいけないんだと思いました。
それが今回の提案「銀座を緑の循環都市に」になった端緒です。ですから、今回銀座を選んだのも、自分たちの事業を達成するために可能性が高い場所はどこかと、銀座という場所は、文京区よりも遥かに可能性が高いのではないか、という到達点からの発想ですから、もともとコネも何も無かった訳です。で、中央区にご挨拶に行ったところ、宮本土木課長という、すばらしい方に出会えて、また受賞の事もあって、いろいろな関係各所、流通関係、処理業者の方、等との出会いに拡がっていった訳です。


なぜ銀座なのか、という所をもう少し詳しくご説明いただけますか?

第一に、銀座は食品リサイクル法に該当する大規模店以外に、小規模な飲食店が密集しており、全体では、日本最大の巨大な食品残渣の排出地区になっています。以前、てんぷら油リサイクル事業で、銀座を東京油田と呼んだ方がいらっしゃいますが、そんな例えで言えば東京生ごみ生産所とでもいうか集積所とでもいうか、生ごみを集め易い地区だと思いました。外食事業者の密集度が高いということは、廃棄物の収集に要する時間とコストを抑えることができます。商業集積地に存在する多くの外食事業者では、発生するごみが小口となり、私たちの持つ小口回収のノウハウを生かすことが可能です。
第二に、リサイクルの処理をしてくれる処理業者の方の拠点、受け入れ場所に近いというメリットもありました。
第三に、これも大きな要因ですが、やはり銀座というブランド。日本を代表する商業集積地での事業の成立により、大きな話題性を持って、生ごみリサイクルの必要性を日本中にアピールできると考えた訳です。


今回は、プランが優秀であるということで受賞されたわけですが、19年度の実際の活動はどのようにされるんですか。

まず、銀座周辺地区での仕組みつくりから始めます。飲食店の生ごみは、廃棄物処理法に基づいた個別の処理契約が必要なため、面の状態での収集運搬を行うことが難しく、点と点の極めて非効率な運用ルートによって回収されています。このことがコスト増にもなっており、各社が入り乱れて回収車を走らせるため、 CO2の多量排出構造を築いています。
また、生ごみリサイクルは、品質の悪いものが混ざれば、その他の良いものまでリサイクルできなくなりますので、分別し、良質な状態で、悪品質のものが他の良質な資源を汚染しないように注意して集める必要がありますが、現状のシステムでは、それぞれの外食事業者が、ばらばらな処理業者と契約を結ぶため、様々な契約先の廃棄物を一台の車両に合積みして回収する結果、生ごみも含め、全量が混ぜられたごみになり、食品リサイクルが不可能となっています。
私たちは、この問題の解決策のひとつとして、小口巡回共同回収システム構築協議会とヤマト運輸の両者の特徴を合わせて考案した、乳母車仕様車による自主的な小口回収システムを提唱しています。
食品リサイクル法の対象会社、中小の飲食店、その他の生ごみを出す人、収集運搬回収業、堆肥化施設、バイオマス施設、飲食する市民、堆肥で野菜を育てる農家、園芸家、銀座商店会、等の多様な関係者の応分のコスト負担と「共創」による仕組みつくりを前提に、「緑の循環都市」を創造していきたいと考えています。