『地域性種子を活用した都市の生物多様性の復元』 有限会社仲田種苗園

<'09 ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャーオープン JP 地域共存ビジネス賞受賞>

【概要】

現在、都心部では屋上緑化や壁面緑化の推進などによって緑化面積自体は増加しているが、コスト面から単調な緑化資材が多用されているのが現状であり、生物多様性の復元までを視野に入れた事業はまだ少ない。世界的に「生物多様性」への取り組みが注目されている現在、本プロジェクトでは、地域性種子のシードバンクを利用して在来の野草種を寄せ植えし、50種程度の植生の復元を可能とした植生マットを開発。さらに地域の植生区域に沿ったオリジナルの植生マットの開発を推進することで、生物多様性の拡大を目指している。また、都市近郊はもちろん、地方においても激減傾向にある在来野草種の保存・繁殖という点からも、ビジネス拡大に期待されている。

【受賞者コメント】

環境ビジネス・ベンチャーオープンを受賞された感想をお聞かせください

私たちは、40数年間の在来種生産の実績をもとに、独自の特許技術で「野の花マット」を開発し、主に首都圏の屋上緑化などに提供しています。また里山整備など地元の地域おこしにも積極的に関わってきました。
この度、事業の将来性と、地域おこしと連携した取り組みを評価していただき、「JP地域共存ビジネス賞」を受賞することができました。
実は、JP賞は、私たちが応募するにあたって一番望んでいた賞であり、相思相愛の恋を成就したような感激です。またNHK地方版やマスコミ各社に再三報道していただき、地元石川町はじめ福島県内の多くの方々から、厳しい経済環境にある地方にとって久々の朗報と、お祝いと期待の言葉をいただいています。
今後は、受賞をバネにして、地場産業としての潜在能力を思う存分発揮していきたいと思います。

受賞事業の今後の可能性についてお聞かせください。

「環境ビジネス・ベンチャーオープン」は、参加企業のボトムアップも目的にされており、二次および最終審査では、私たちの事業に対して、貴重なアドバイスをいただきました。
まず、私たちは植生区分を重視する立場から現在首都圏を中心に商品を提供しています。しかし一方で関西など他地域からの要望には応えていないのが現状です。今後は、オリジナルの特許技術を移転する形で、他地域での「野の花マット」生産を展開していきたいと思います。
次に、日本の自然の美しさとか、生態系の大切さなどを、次世代に継承するために、校庭に「原っぱ」を作ろうという私たちの提案を、さらに深耕させたいと思います。そのために、「野の花マット」を体験した小学生の感激などを映した動画をホームページやDVDで発信していきます。これも理念をわかりやすく伝えるという審査員のアドバイスの一例です。

今後の受賞事業の展望をお聞かせください。

有限会社 仲田種苗園は農業生産法人です。私たちは、NPO法人ふくしま風景塾も運営しています。両法人の役割ですが、NPOは10年先のビジネスの種まき、農業法人はその育成と収穫と考えています。
商品の展望としては、現在は植生マットの特許技術を使用して、屋上緑化などに商品を提供しています。いわば、「緑化」とか「彩り」の分野です。しかし里山植物の可能性は、無限にあり、特許技術を応用して、「山菜マット」(商標登録申請中)など、「食」の分野にも事業を展開していきます。
最後に、私たちのビジネスの展望としては、都市と地方の次世代間の交流を進めたいと思います。例えば、地元石川町の小学生のアイデアや感性を取り入れて制作した「野の花マット」や「山菜マット」を首都圏の小学校に提供する仕組みを作るということです。