『Tef-Tef Garden』 100PG(2) 柳沼 広紀、小田兼弘

<'09 カルチャー部門 エコデザイン グランプリ受賞>

【概要】

花壇や菜園は人間のためだけでなく、他の生き物たちにとっても最高に素敵な楽園にしたい。そんな思いから、野菜や花の種を植えるという行為をユーザーの楽しさを失うことなく、蝶の視点から見直した作品。
水溶性の再生紙に蝶や植物のグラフィックを施し、蝶の食草となる植物の種子を挟み込んで作られたシートは、庭や花壇などに敷くだけで、難しいとされる蝶を育てる環境を、誰でも手軽に作り出すことを可能としている。

【受賞者コメント】

受賞作品の制作に取り組んだきっかけをお聞かせください。

昨年の春から実家の家庭菜園で有機無農薬による野菜作りを始めましたが、害虫との格闘は大変難しいものでした。ニンジンは何種類かの模様の芋虫が葉っぱを食べまくっていて、詳しく調べてみるとそれらの芋虫は実はすべてキアゲハの幼虫で、脱皮するたびに体の模様を変えている!しかも、キアゲハはニンジンなどセリ科植物の葉っぱしか食べない!など、今まで知らないことが解ってきました。自然や生き物は面白い!と感じた驚きを、沢山の人にも感じてもらいたいと思い、作品としてまとめました。

今後のエコデザインの可能性についてお聞かせください。

エコを具体的に実現していくエコデザイン(省エネルギー、リサイクル性、バイオマス使用など)は今後も研究していかなければなりませんが、それに加えて地球や生命の素晴らしさ、不思議さ、美しさを多くの人々に伝え、気持ちや感性を変えていくための製品や仕組みづくりとしてのエコデザインがもっと重要になってくるのではないかと思います。

受賞の感想をお聞かせください。

大変嬉しいです。エコデザインの可能性を増やすことができたのではないかと思います。
また、この提案を実現してほしいという期待の意味も込めて受賞させていただいたと思うので、ぜひ製品化を検討したいと思います。ようやくスタート地点についたばかりですので、今後も緊張感を持って取り組んでいきたいと思います。
今後の作品づくりについての展開をお聞かせください。
幼虫を見守っている人同士(学校間、居住区など)の地域コミュニケーションの場の提供や、ウェブ上の広場も提案できればと思います。地図サービスを用いて近隣のユーザーのシートの選択を参考にして、蝶が行き来するようなネットワークができると理想的です。また、今回は種から育てられる蝶に限定しましたが、木の葉を食べる他のアゲハ蝶のために、苗木を簡単に植えられるアイディアも考えていきたいと思います。